米スーパーファンド法の影響
◆2.米スーパーファンド法の影響
不動産における収益性や地震リスクなどのデュー・デイリジェンスも非常に重要なのですが、ここ数年は日本でも関心が高まってきた環境問題もチェックしておく必要があります。アメリカでは、デュー・ディリジェンスの結果が不動産取引の契約解除条件にもなるほど重視されています。加えて、近年、特に重視されているのがアスベストなどの建物有害物質や土壌・地下水などの汚染可能性を調査するデュー・ディリジェンスです。日本でも、シックハウス症候群問題、吹付けアスベスト(石綿)やPCB(ポリ塩化ビフェニール)などの建物有害物質について社会問題化しています。さらに、カドニウム、シアン、鉛、六価クロム、枇素、水銀などの重金属、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、ジクロロメタンなどの有機塩素化合物が土壌.地下水などを汚染している場合は不動産の価値を大きく下げる要因にもなっています。特に工場や工場跡地については、地歴調査や水質検査およびボーリング調査なども場合によっては必要とされ、汚染が発見された場合は、土壌の改良や水質汚濁の究明・改善なども求められることがあります。一般的に日本で土壌改良を行うには、坪100万円程度は必要といわれています。なかにはマンションの建築が8割がた終了した時点で土壌汚染が発覚し、建物を取り壊してしまったデベロッパーも存在します。現在では訴訟の原因にもなっており、環境リスクとしては大きなウエートを占めてきています。これらの環境リスクが証券化やファンドの対象となる不動産に負荷をかけ始めています。現在では土壌改良コストが地価を上回ることも少なくなく、売買自体が不可能になってきています。さらに、売買成立後でも、汚染などが発覚すると売り主は責任を問われることも増えてきました。この流れは、1980年にアメリカでスーパーファンド法が成立し、汚染浄化責任当事者の範囲が極めて広がったことに起因します。この法では、不動産取引においては土地・建物における「汚染物質の有無」および「その程度」についての調査が必要となりました。しかし、実際には費用対効果の問題もあり、米国材料試験協会(ASTM:AmericanSocietyforTestingandMaterials)は標準規格を示し、スーパーファンド法に対する抗弁材料として利用されています。